「私、ブスだし引きこもりのニートだし胸はないし屁もくさいし、何もいいところないんだよね」
ブスムシは割と明るくそう言っていた。なお、ブスムシとは何も僕が彼女を嘲っているわけではない。本人が自らSNSでそう名乗っていただけのことだ。
そんなブスムシがパパ活を始めた。ブスのパパ活だ。
「こんなブスでもお金くれる人いるかなーて」いい加減、家にお金を入れないと何かと親がうるさいブスムシはようやく重い腰を上げてパパ活を始めたわけだ。
しかし、本気でお金に困っていてパパ活くらいしか当座のお金を稼げる手段がなければ、自らブスと言って客を引き離すような真似はしないだろう。
美人と思っていた女の子なのにくそブスが現場に現れたらガッカリする、しかし、自らブスと名乗るブスが、実はそうでもなければ得をした気持ちになる。彼女がブスムシと名乗っていたのは、そんな効果を狙っているのかもしれない。期待を抱かせないブスのパパ活だ。
だが、ブスムシはそんな1%にも満たない気持ちを完膚なきまでに打ち崩すれっきとしたブスだった。
「こんなブスムシの社会復帰に貢献してくれるパパを募集してます~てやったらおじさんが引っかかった」
ブス専
と、ブスムシは自虐的に笑っていた。まあ、僕も本人がブスと言っているだけで、本当は本人がそう思い込んでいるだけでそうでもないんじゃないか?などと甘いことを考えていたが、子供の頃は「恐怖奇形人間」と呼ばれていじめられていた、と言う話も本当のように思える。
さて、どうしよう?僕はブスムシを抱くべきか。
「でも、こんなブスムシに声をかけてくれて、ちょっとだけ嬉しかったかもね」
ブスムシはそう言って小さく微笑んだ。なぜだかその笑顔がブスなのにかわいげがあった。
これが、僕がブスのパパ活を本格化させた顛末である。パパ活をしているそこそこの美人は結構いる。しかし、ここまでのブスはそうはいない。それは何と言うかかけがえのない自分だけのオンリーワンに思えてしまったのだ。ブスも美人も関係がない。自分の方を向いてくれているか、なのだと思う。
「あ、屁が出る」
と、そんなことを考えていた僕にブスムシは尻を向けてくさい屁をこいた。こんな女性はなかなかいないぞ、いいだろう?
謝礼交際
デート縁